一般社団法人 日本古琴振興会
〒141-0032 東京都品川区大崎4-2-2
トーカンマンション205
TEL:03-6417-3434
FAX:03-6417-3430

イベント報告

2017年

11月16日~19日 「平湖杯」古琴コンクール参加 (中国・上海市)

16日(木) 王鵬先生による古琴講座 (上海外国語大学松江校)
17日(金)~18日(土) コンクール (上海松江区の琴苑「阡陌雲間」)
19日(日)夜 審査員の先生方による演奏会「傳世清音」 (上海市内・上海商城)

11月16日~20日の日程で、上海古琴文化節2017「第二届平湖杯古琴芸術展演」が開催されました。
2年に1度開催される古琴コンクールの2回目で、2年前の初回に続き、今回も東京聴風琴社より5名が出場しました。

非職業組(アマチュア部門)の4名は、それぞれ「碧間流泉」、「梅花三弄」、「鷗鷺忘機」、「平沙落雁」を演奏。
今回から新設された琴歌芸術組(琴歌部門)には1名が「陽関三疂」で参加しました。

会場は、上海市内から車で30分ほどの新開発地区・松江区。その一画にある明清時代の古い大邸宅を琴苑として活用した「阡陌雲間」が会場となりました。

水辺に揺れる柳が美しい広大な庭園に、区の重要文化財にもなっているというお屋敷も風情ある佇まいです。
いくつもある大広間は雅やかな家具や調度品を備え、イベントやレストランにも活用されています。

会場では、昼食と晩餐も大勢の参加者たちでともに円卓を囲みます。時には、私たちが揃って食事をとっているテーブルに、審査員のお一人である王鵬先生がふと近づかれ、話かけてくれる一コマもありました。

「とても雰囲気があって良い演奏でしたね。あとはもっと技術を磨けば素晴らしくなりますよ。」
中国国内でも有名な先生の気さくなお言葉に、とても励まされました。

今回のコンクールは技術のレベルがとても高く、難度の高い大曲ばかりが披露されました。
特に、入賞された中国の方達の演奏はとても力強く迫力がありました。

様々な古琴の音色に浸り、吸収することの多いコンクールの二日間となりました。

11月20日(月) 琴工房「南風」見学 (江蘇省揚州市)

上海でのコンクール参加を終えた翌日は、新幹線で揚州に移動して古琴工房「南風」を訪ねました。
当振興会で取り扱っている古琴は、この「南風」から取り寄せているものです。

倉庫の高い屋根に届くほど積み上げられた古い木材は、すべて明清時代のものだそうです。
時を経て熟成した木材が、安定したまろやかな琴の音色を生み出していくのですね。

隋の時代に開削された運河が緩やかに水を湛え、どこまでもまっすぐに並ぶ柳に縁どられた揚州は美しい街です。 秋のこの季節は、河辺に白いススキの穂が揺れているのも印象的でした。
柳の新緑と蓮の花が美しい春の季節にもまた、訪ねてみたいものです。

11月5日 武井欲生 古琴演奏会「月のおもひ」

十六夜の秋の夜、演奏会は、幸いにも好天にめぐまれました。

前半は、古琴という楽器の紹介から始まり、「憶故人」「月下流泉」「漁樵問答」「宋玉悲秋」が奏でられました。
山中に一人たたずむ文人が、秋に友を恋しく思う「憶故人」。
分け入った山中の奥に小さく湧き出した清水の、大河に至るまでの雄大な流れをおう「月下流泉」。
大自然に生きる漁師と木こりが問答し、大いなる気づきへと至る「漁樵問答」。
詩人・宋玉が、秋の情景に悲しみを重ね、遣る方ない心で悠久の自然を見つめる「宋玉悲秋」。

主に中国に関係する曲が、情感豊かに爪弾かれました。

後半は、日本と関係の深い曲が選ばれました。

古琴の、日本における受容の歴史を織り交ぜつつ、「龍朔操」「梅花三弄」「杏花天影」「陽関三畳」が奏でられました。
日本でも愛された、王昭君の物語をもとにした「龍朔操」は簫の王明君さんと、
南宋の詩人・姜夔が故郷を思う詞をもとに王明君さんが作曲された「杏花天影」は、尺八の菅原久仁義さんとの合奏で。
合間には、文人たちの理想の姿をあらわすという梅の姿を表現した「梅花三弄」が弾じられました。

また、最後には、王維による送別の詩「元二の安西に使いするを送る」の曲である「陽関三畳」を、聴風琴社の皆さん10名との合奏でお送りしました。

アンコールとして、竹林の七賢・阮籍による、一人の男が酩酊していく様を表現したという「酒狂」の楽しい調べで公演は幕を閉じました。

秋夜のひと時、集まってくださった皆さんと琴の音色に導かれ、古から親しまれた様々な物語の世界を共有し楽しむことのできた、素晴らしいコンサートとなりました。

古琴と尺八がコラボレーションした「杏花天影」をYouTubeに載せてあります。ぜひご覧ください。

「日本古琴振興会と中国広東琴人の交流会」(広東省)

日本古琴振興会として代表理事含め3名が参加し、中国の琴人らと交流会を挙行しました。

[8月13日] 広東省深圳市

深圳市の福順堂で、「中日琴茶名家雅集」に出席したのですが、気温40℃近い酷暑のなか、定員の70名参集して頂きました。

当振興会より「近代日本文人画の中の琴」というタイトルで、日本の歴史に触れながら、日本における琴の伝来、武士社会での途絶、再興など、写真を使って紹介しました。
また、日本の煎茶道の紹介と実演をしました。

古琴の演奏では広東省で活躍中の呂宏望様、王可遜様等が披露し、日本人の鎌田嘉之も地元嶺南派の名曲「鷗鷺忘機」を、高欲生は「宋玉悲秋」を演奏しました。

会場は優雅な琴色だけが隅々まで響き渡っていたと思います。

[8月18日] 広東省広州市

広州市に舞台を移し、啓秀茶城と七木琴社が主催する「絹絃古琴の調べ」に参加しました。
中国の古琴演奏者がスチール絃を使うのが主流ですが、伝統のある絹絃に関心を持っていただいたと思います。 当振興会の呉本舜より、絹絃の演奏体験や、日本の絹絃(丸三ハシモト株式会社製)を紹介し、デモ演奏もしました。

高先生はこの絹絃琴を使用し、伝統名曲「龍朔操」を演奏後、
一部の経験者のご要望にお応えし、グループレッスンも行ないました。
言うまでも無く中国の古琴人気には脱帽するばかりでした。

8月7日 「日中与党交流協議会 歓迎夕食会」演奏披露(経団連主催) 経団連会館 経団連ホール

日中国交正常化45周年・日中平和条約締結40周年を記念し、経団連の方より日中交流行事での古琴の演奏依頼をいただきました。
日本側からは福田康夫元内閣総理大臣や岸田文雄元外務大臣、自民党の二階堂博幹事長も列席されての歓迎夕食会でした。

ちょうどこの日は立秋でもあり、高欲生先生により「平沙落雁」と「碧間流泉」の演奏が行われました。

貴重なご縁をいただいて、日中の架け橋のような楽器である古琴が日本でもさらに豊かな文化を織りなしていけるよう振興会として奮闘する所存です。

7月5日 一般社団法人倫理研究所東京都倫理法人会 設立25周年記念パーティー 客演(東京・港区)

当振興会がお世話になっている会計士さんが、一般社団法人倫理研究所東京都倫理法人会の幹事をされているご縁から、ホテルJALシティ田町で開催された記念パーティーのゲスト演奏にお招きいただきました。

披露したのは、高先生と小関広洋さんの合奏による「梅花三弄」と、
関範子さんと三浦祐子による「陽関三疂」です。

お祝いの席を飾る、という、新しい経験をさせていただきました。
ありがとうございました。

4月30日~5月5日 【琴縁四海】主催(中国・江蘇省)

「日本近代文人画・古琴専題収蔵展」「日本煎茶道表演」「古琴講座・雅集」と題し、呉本さんが所蔵する古琴専題の文人画の展示に合わせ、古琴講座・演奏交流会及び煎茶道表演が行われました。
場所は、江蘇省国画院美術館および宜興市中超利永紫砂陶有限公司の二か所です。

当振興会からの参加は高欲生先生と武内美恵子先生、呉本さん。
煎茶道草風会から吉田草風先生と相原美風先生にもご協力いただきました。

会場は情趣が有り、中国のお客様たちも日本の煎茶道や伝統文化に興味津々の様子です。

この企画の開催にあたっては、在上海領事館の後援を得ることができました。
さらには、外務省の日中国交正常化45周年及び日中平和友好条約締結40周年行事としての認定もいただき、
ロゴマークの使用が認められました。

4月23日 日中古典音楽交流演奏会「古琴&尺八」主催(埼玉県草加市 柳島町コミュニティセンター)

草加市柳島町コミュニティセンターにおいて、雅集を開催しました。

中国からは、西安市で楽易琴堂を主宰されている 林蔚麗老師とお弟子さん達、総勢11名をお迎えしました。
日本側からは、草加市で尺八の製作をされている翔童さんと玉城盛童さんが参加され、音響機器もしっかり設置して下さいました。

西安の奏者の方々と東京聴風琴社のメンバーが互い互いに演奏していく形で演奏会は進みました。
大まかにとらえると、西安の奏者の方々はダイナミックで力強い演奏、東京聴風琴社の演奏はしっとりと濃やかな味わい…と感じたのは、佇まいのせいでしょうか。

奇しくも「陽関三疂」は日中双方の奏者が披露する形となりましたが、
中国の女性が唱われるとゆったりと古都を吹き抜けていく風のように響き、とても勉強になりました。

林蔚麗老師は、「流水」を弾いてくださいました。
きらきらと輝く水が谷間を越え、大海へと流れ込んでいくような音色に、うっとりと聴き入りました。

そんな中で異色だったのは、尺八の玉城盛童先生の「奥州薩慈」です。
聴いているうちに北国の真っ白な雪原に吹雪く風の中に連れていかれるように感じました。
そう感じたのは、日本人である私達の中に雪国のイメージがあるからでしょうか。

中国のいろいろな地方からいらした方達がどんな感想を持たれるのか、ぜひお聞きしてみたいです。

4月10日 「開封清明文化節・第1回中国古琴名家音楽薈」(中国・開封市)

中国河南省開封市が主催した「開封清明文化節・第1回中国古琴名家音楽薈」に高欲生先生が招待されました。中国各地を始め、台湾やシンガポールからも琴の奏者が来訪し、日本からは高先生が参加しました。

開幕式を含め、四か所での琴の演奏会が行われ、交流を深める良い機会となりました。

4月2日 「第三回日中文人交流会」主催(東京・台東区)

東京国立博物館 茶室応挙館での「第三回日中文人交流会」は、上野公園の満開の桜と共に迎えることができました。

古琴と篠笛による「さくら」で幕を開け、日本筝曲生田流による「さくら変奏曲」で締め括る… という用意していたプログラムにふさわしく、麗らかな春の日差しのもとでの華やかな一日となりました。

今回、中国・青島からお迎えしたのは、画家の管恩智氏と書家の呉敏中御一行様でした。
日本側からは、昨年に引き続き詩吟の多摩精岳会の方々の吟詠や茶道吟、尺八の林鈴麟先生による演奏。
また、太極拳では、中国文武学院主催の高小飛先生の講演の前に、日本古琴振興会の会員で「みんみんカンフー」も主催されている石井まゆみさんに演示をしていただきました。

「和文化体験」としてお招きした和礼文化塾主催の齋藤和胡先生には、<折形>の体験講座を受け持っていただきました。
後半には、管恩智、呉敏中両先生の作品をプレゼントするじゃんけん大会のサプライズもあり、全員がじゃんけんに参加しての大盛り上がりでした。

回を重ねるごとに来場者の数は増え、今年は100名を越えるお客様を迎えました。

プログラムも多彩なものとなりましたが、日本と中国、静と動の間(あわい)を行き来しつつ、風雅なひとときを味わっていただけたのではないでしょうか。

3月5日 公開講座「浦上玉堂と催馬楽」参加(京都市中央区)

京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターが主催する公開講座「浦上玉堂と催馬楽」が、ウイングス京都において開催されました。

この講座を企画された京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター准教授の武内恵美子先生は、当振興会のメンバーでいらっしゃいますが、この日は司会に加え、玉堂琴譜の復元演奏と解説をご披露くださいました。

演奏の際には、浦上玉堂が着ていたという服を再現して身に着けられ、会場内は一気に250年の時を遡り、江戸時代へと連れて行かれるようでした。

2月18日 「公益古琴講座」参加(中国・広州市)

中国広州嶺南古琴研究会の誘いを受け、高欲生先生による「公益古琴講座」が初めて開催されました。

受講生をWeChat(中国仕様SNS)で公募したところ、3日で満員御礼となったそうです。

現在の中国では、自身の伝統文化を重視する流れがあり、各地で琴社(教室)も「雨後春筍」のように次々と生まれているそうです。
参加者全員の熱意の内、3時間の講座はあっという間に終了しました。

1月21日 第2回定時会員(社員)総会(東京・品川区)

一般社団法人日本古琴振興会の第2回総会が開催されました。
第2期の収支報告と活動報告に続き、決議事項4議案が承認されました。
これにより、現行理事に加え、さらに2名が新規理事として選任されました。

また、日頃より振興会の活動にご協力をいただいている稗田浩雄先生に「特別顧問」としてご就任いただくことが承認されました。
総会終了後には、引き続き集会室で懇親会が行われました。

1月16日 「雅・静筆墨~書画真情」中日書画展参加(東京・港区)

中国文化センターで開催された第一回「雅・静筆墨~書画真情」中日書画展の催しの一つとして、唐詩詩吟鑑賞会が行われ、高欲生先生が出演されました。

中国の著名なオペラ歌手、国家一級俳優の程波氏と高先生のコラボレーションにより、李白「早発白帝城」、柳宗元「江雪」孟浩然「春暁」などの有名な漢詩の数々をたっぷりと聴かせていただきました。

程波さんが声量豊かに朗々と歌い上げる詩の世界と、高先生の自由闊達な古琴演奏が溶け合い、唐詩の世界がダイナミックに広がる濃密なひとときとなりました。

また鑑賞会の終了後には、日本礼道小笠原流煎茶吉田草風会のご協力により煎茶席も設けられ、タイトル通り「雅・静」な空間が中国文化センターの一画に出現。
味わい深いお煎茶をいただくことができました。

静かで瞑想的なイメージのある古琴ですが、動的で映像が浮かぶような魅力を見せていただいた気がします。
振興会のイベントでも、機械があればぜひ取り上げてみたいです。